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日本人の起源を探る
184229 崎谷満『DNAでたどる日本人10万年の旅』より@〜Y染色体からみる日本人の起源
 
山澤貴志  ( 43 鹿児島 ITコンサル ) 08/08/29 PM10 【印刷用へ
DNAによる人類起源の研究は、近年Y染色体DNAの研究を通じて、アフリカから旅立った人類の大移動がかなり解明されてきたようです。崎谷満先生の『DNAでたどる日本人10万年の旅』は最新成果がよくまとまった本です。書評ブログがありましたので、要点を転載します。
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 Y染色体の系統は、アフリカ固有のA・Bと、それ以外のC〜R(アフリカ集団と非アフリカ集団)のハプログループに分類されます。現代人にとってのY染色体における最終共通祖先の存在年代は、9万年前頃になります。Y染色体の系統では、まずA系統とB〜R系統が分岐し、その後にB系統とC〜R系統が分岐しました。A系統とB系統はアフリカでしか確認されず、Y染色体DNAの分析からも、現生人類(ホモ=サピエンス)のアフリカ単一起源説が支持されることになりました。

 出アフリカを果たしたC〜R系統(すべてが出アフリカを果たしたわけではありません)は、C・D〜E・F〜Rの三つに大別され、日本列島にはその三つの系統のいずれも存在します。出アフリカの経路としては、北アフリカからレバノン回廊を通る中東ルートと、東アフリカ(アフリカの角)からアラビア半島を経てインドへといたる南アジアルートが想定されています。日本列島中間部のY染色体DNAの主要な系統は、次のようになります。

●C系統・・・C系統はまずユーラシア南部(インド)へ達した後、東へ南経路で移動してインドネシア東部とパプアニューギニアへ達し、オセアニア各地やオーストラリア(Cの特殊な亜型が見られます)へ到達したと思われます。C1系統は日本でしか見られず、インドの集団から直接日本の集団へ分岐したと推定されますが、その移動ルートは不明です。C1系統は、航海術と貝文土器を携えて新石器時代早期に日本中部に達した、貝文文化の民との関連が注目されます。C3系統はユーラシア南部を経てユーラシア東部を北上していき、シベリアで大繁栄したと推定されます。C3系統の一部はシベリアからサハリン経由で北海道へ達したと想定されますが、朝鮮半島経由で九州へ達した経路も想定できます。

●D系統・・・D1・D2・D3という各系統に分かれるD系統は、ユーラシア東部に限局されます。日本列島では世界的に稀なほどD2系統の高い集積が見られますが、D1系統は低頻度で、D3系統は見られません。チベットではD1系統(16%)とD3系統(33%)に高い集積が見られます。D系統は出アフリカ後、ユーラシア南部を東へ移動した後、東南アジアを経て北上し、華北からモンゴル・チベット・朝鮮半島〜日本列島へと達したようです。D系統の祖型の分布時期は13000年前と推定されており、D系統は新石器時代のユーラシア東部においてもっと広がっていた系統である可能性が考えられます。しかし現在、ユーラシア東部ではD系統は稀な系統になっており、日本列島に最大の集積地点が残り、その他では遠く西に離れたチベットにD系統が高頻度で存続するだけですから、両者を分ける広大な地域には、後に別の集団(引用者注:漢民族)が割り込んできたと予想されます。

●N系統・・・シベリア北西部と北欧(とくにウラル系)に高い集積を示していますが、シベリア東部や日本列島では低頻度でしか見られず、アイヌ民族と琉球では確認されていません。N系統はO系統とひじょうに近い分化の経路をたどり、N系統の分岐年代は8800年前または6900年前と推定されています。N系統は新石器時代に中国大陸から朝鮮半島を経て日本列島に流入してきた集団と関連と想定されています

●O系統・・・O系統はユーラシア東部に限局して見られます。O系統の発祥地としては東南アジア南部が想定されており、O系統の分岐時期は17500年前か10700年前、その移動開始時期は8100年前と推定されています。O2b系統の分岐時期は3300年前、その移動開始時期は2800年前と推定されています。O2a系統は華南から東南アジアに高い集積が見られますが、日本列島ではほとんど確認されておらず、日本列島と朝鮮半島ではO2b系統が高頻度で認められます。O3c系統はミャオ・ヤオ系に高い集積が認められ、その他では華南・東南アジアを中心に広がっていますが、日本列島ではほとんど確認されていません。O系統はアイヌでは未確認ですが、琉球では主要な系統になっています。O1系統は台湾先住民の間において特異的に高頻度で見られる他、フィリピンやその他の南方島嶼部でも認められ、言語的にはオーストロネシア系との関連が想定されています。

 まとめると、それぞれ頻度に差があるとはいえ、日本列島の主要な系統はC1・C3・D2・N・O2b・O3と言え、この主要6系統以外では、D1・O1・O2a・Qなどが散発的に見られます。Q系統の祖先型は、後期旧石器時代に中央アジアを経てシベリアのアルタイ山脈へ達して石刃文化の担い手となり、分化したQ系統がシベリア東部へ向かい、その一部は南下して日本列島へ達したと推定されています。
 
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