ナショナルジオグラフィックのサイト(英文)に、人類のY染色体DNAとミトコンドリアDNA解析に基づくDNAタイプの分岐年代・発生場所と移動経路の推定マップが作成されていた。https://www3.nationalgeographic.com/genographic/atlas.html
これは、2005年に同協会とIBMが開始した「ジェノグラフィックプロジェクト」で、5年間かけて世界中から約10万のDNAサンプルを集め、「アダムの旅」の著者でもあるスペンサー・ウェルズ博士を中心に解析を行うというもの。サンプル採取は有料の専用キットをプロジェクト参加者(サンプル提供者)との間でやりとりし、提供者には解析結果が報告される仕組み。キット購入者は2007年時点で約8万人と発表されている。
プロジェクトに参加した日本人の報告リンク リンク リンク
このサイトで、A系統〜R系統に分類された人類のY染色体DNAのうち幾つかの系統の分岐と移動を辿ってみると、概ね次のようになる。
まず、全ての系統は東アフリカから始まる。約5.5万年前に登場したA系統と5〜6万年前のB系統はアフリカに留まった層。アフリカを出た大半の系統の共通祖先とされるM168(これは系統ではなく判別DNA部分の名称)が7.9万年前に登場し、アラビア半島へ向かう。
約5万年前のアラビア半島及び紅海周辺で、M168のグループから分岐して、現在のモンゴロイドに多く見られるC系統とD系統の祖形が登場。
C系統は、その後インド〜スンダランドを経て豪州まで拡散する。スンダランドでは約2万年前にC3系統が分岐(C1〜2は情報なし)し、江南方面、華中方面、そして本州から北海道へ至り、さらに北海道からは一派が北東アジアへ、一派がカムチャッカ半島を経て北米まで至っている。
D系統は、同じくインドからスンダランドを経て北上し、北東アジア(満州付近)〜中央アジア〜ヒマラヤ近辺とアジアを反時計回りに一周するように拡散。この過程で、約3万年前に中央アジアでD1系統が分岐しチベットへ、同じく約3万年前に九州でD2系統が分岐し北海道へ至る。
漢人に多いO系統は、M168から分岐し中東から移動してきたK系統から、約3.5万年前にインド北部のヒマラヤ山脈周辺で登場。その後、江南地方へ移動し、そこで約3万年前にO1系統とO2系統が分岐。O1系統は台湾方面へ、O2系統は東南アジア〜日本方面へ拡散。そして、約1万年前にはやはり江南地方でO3系統が分岐し黄海西岸へ至っている。
アジア人の起源に着目すると、大きな分岐地点としては中東、ヒマラヤ山麓、さらに東南アジアと江南地方が挙げられるが、その後の移動経路はかなり広範かつ複雑に入り組んだものが推定されている。
奇妙なのは、ミトコンドリアDNAの分岐年代とY染色体DNAのそれとが大きくずれているように見えることだ(米州に到達したY染色体の登場より、同じく米州に到達したミトコンドリアの登場は約1.5万年早い)。おそらく塩基置換速度の推定に課題があるのではないだろうか。 |
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